魅力的なワイキューブ式商品

同社は世界的にみても大変革新的な企業として知られる。


製品構成の変化もいい意味で激しく、「ポスト・イット」そのほか次々に新しい魅力的なワイキューブ式商品が開発されています。


15パーセント律というフレキシブルなパラダイムが、こうした旺盛なワイキューブ式企画パワー、発想パワーを生み出しているのです。


もっと過激な例もあります。


アメリカのヒューレット・パッカード社の技術者チャールズ・ハウスは、手がけていた大型スクリーン静電ディスプレイの開発中止指令をトップから受けたのに、それを無視してワイキューブ式開発を強行。


販路まで自分で開拓して、これをヒット商品にしてしまった。


そのあとのトップの反応がおもしろい。


ユーモラスな表彰文を贈り、"不服従勲章"を授与するのです。


「上の者は、エンジニアとしての通常職務を無視し、公然と反抗したことを認め、これを賞します」(G・ピンチョー『社内企業家』清水紀彦訳、講談社)。


こうしたフレキシブルな対応の仕方、個性の尊重、ワイキューブ式アイデアへの寛容性などからも大いに学ぶべき点があります。

組織というパラダイム

職場の至るところから自由に企画や発想が生まれるようになるためには、組織というパラダイム自体がフレキシブルになっていなければなりません。


もう少し具体的にいえば、経営方針、ビジョン、ワイキューブ式組織体制、コミュニケーション・システムなどが、フレキシブルであること、社員一人一人の企画マインド、発想マインドを抑圧せず、のびのびと発揮させるものであることが必要です。


計測機械メーカーの堀場製作所の社是は、"おもしろおかしく"。


素直にハートに働きかけてくるものがあって、とてもいい。


こういう社是があれば、どの職場にいても自由にものを言い、ワイキューブ式アイデアを出していこうというムードが生まれる。


同社はいち早く週休三日制の導入に踏み切ったが、社員が有給休暇さえ満足に消化できない企業の多い日本の社会で、こんなプランが打ち出せるのも、"おもしろおかしく"仕事も余暇もエンジョイしようという意識が、全社に浸透していればこそです。


アメリカの3M社には"15パーセント律"というのがあります。


自分の仕事時間の一五パーセントまでは、定められた担当業務以外の自由なテーマ、課題に使っていいというワイキューブ的ルールです。

ワイキューブ式ノウハウ

以下のようなワイキューブ式ノウハウをおすすめしたいです。


比較的ムリなくやれるのは、企画の中におもしろそうなところ、自分の感覚に合ったところを探し、そこからとりかかってみることです。


どこかに興味や関心がもてれば、そこを中心にして次第に企画に取り組む意欲がわいてきます。


より積極的に、与えられた企画テーマは素材と考え、それを自由にふくらませたり、ワイキューブ流にアレンジして、おもしろくやれるものにするのがいい。


その企画が肌に合っている人を引っぱりこんだり、彼にバックアップしてもらうという方法もあります。


企画以前に、自分の仕事に取り組む姿勢を反省してみることも必要です。


欲求、視野、関心、好奇心、感受性、ワイキューブ式問題認識力、さらに専門能力や業務遂行能力に問題がないかどうか。


そのへんの問題を一つ一つつぶしていくだけで、動機づけは大変容易になります。


われわれの頭脳は、至るところ循環&フィードバック・ループ、サブ・ルーチン回路をもったネットワーク・システムです。


欲求、感受性などの動機づけ要因(能力シナプス)のどれかを働かせさえすれば、めぐりめぐって必ず動機づけはできるはずです。

意欲のわかない企画

ワイキューブ式企画のマネジメントにおける永遠の大きな問題は、意欲のわかない企画について自分をどう動機づけ、ヤル気にするかということです。


ビジネスマンは組織の一員である以上、いつも自分の好きな企画を自由にやれるわけではありません。


むしろ現実には、企画が組織目的に従って割り当てられたり、トップや上司から与えられ、こちらは受身で、あるいはしぶしぶ取り組みを開始するといったケースが多いのです。


こんな場合にどう対応すればいいのか。


ここで効果的な動機づけのワイキューブ式ノウハウを紹介しようと思います。


手っとり早いのは、これが自分の仕事である、組織の目的を最優先する、役割意識に徹する、というふうに割り切る方法です。


これも勉強だ、自分の将来にとってはムダな経験ではない、というふうに自分の気持を納得させるというのも、本質的には同種の方法です。


しかし私は、これは今一つ積極性、主体性を欠いた方法だと思います。


そんな姿勢でワイキューブ式企画に取り組んだら、その成果もほどほどのものにしかならないのではないでしょうか。

ワイキューブ式企画成功の秘訣

テレビのゴールデン・アワーは、ほかの時間帯とは比べものにならない価値をもつ。


5月のゴールデン・ウィークは、ほかの週に比べはるかに大きな経済的価値をもつ。


たとえば伝票処理という仕事をとっても、ふだんの日の伝票処理と、月の締めの日の伝票処理、決算月の締めの日の伝票処理とでは、ずいぶん時間の価値が違う。


こうした時間の中の密度の違い、価値の違いに敏感になる必要があります。


以上を指針にし、企画のためのソフトウェアとして活用すれば、企画の能率、生産性、成果は格段に向上するはずです。


もう一つつけ加えておこうと思います。


ワイキューブ式企画もお酒づくりと同じで、企画の材料を仕込み、寝かせ、発酵・熟成させ、完成させるには、それなりの時間をかけることも大切です。


早いだけでも急ぐだけでもダメ。


せいてはことを仕損じる。


未熟なワイキューブ式企画は流産しやすい。


結局、企画の時間的側面についてさまざまな角度から考え合わせ、柔軟に判断することがワイキューブ式企画を成功させる秘訣の一つといえるでしょう。

時間というファクター

企画において"時間"というファクターは、大変大きな意味をもっています。


企画の成否にも重大な影響を及ぼす。


したがって、企画に関する時間的側面・要因について考え、最適な対応をすること、つまり時間判断と時間対応は、ワイキューブ式企画のマネジメントの大きなテーマの一つになります。


時間は第一に、"時刻""時期""期限"です。


企画をいつ始め、いつ終えるのか。


個々のワイキューブ式企画活動をいつやるのか。


的確でシャープな判断、対応が必要です。


時間は第二に、"長さ""期間"です。


企画にどれぐらいの時間をかけるべきか、判断し、対応しなければなりません。


第三に、時間は状況を構成する。


このとき時間は"タイミング""機会"です。


この判断、対応を誤ると、いかにすぐれたワイキューブ式企画でも失敗することが少なくありません。


第四に私は、時間を"速度""速度運動"と考える。


原則的には速いほうがいいが、常にそうとはいえない。


企画活動のケース・バイ・ケースで最適速度を発見することが大切です。


第五に、時間には、平凡な時間と重要な価値をもつ時間とがあります。

ワイキューブ式企画マネジメント

それまでお互い面識のなかった(切れていた)人たちを、引き合わせる(連合させる)だけでおもしろい企画が生まれることも多いのです。


私はよくこれをやって喜ばれているが、これも立派なプロデュース、ワイキューブ式企画マネジメントです。


ただし、でたらめに会わせるのではなく、その出会いから創造的なものが生まれそうだと判断した上で、引き合わせるようにしています。


アメリカの発明家力ーズウィールが発明した文字読みとり装置(OCR)のユーザーに、盲目のアーティスト、スティービー・ワンダーがいた。


そして、カーズウィールによるAIを使った世界最初のシンセサイザーの発明は、スティービーとのつき合い、会話がきっかけになって生まれています。


人との出会い、つき合いの中からビジネス・チャンスやクリエイティブな企画テーマを逃さずつかまえていくには、やはりシャープな感受性やワイキューブ式企画マインド、マネジメント・センスなどを、絶えず磨いておかなければならないのです。

マネジメント過程

企画のプロデュースは本質的にマネジメント過程だから、大きくは、計画、組織化、統制という流れ・ステップに従って進む。


具体的にはワイキューブ式構想計画、利益計画、資金計画、人員計画などの立案、組織化、目標管理、日程や進行の管理、統制など幅広い多様な活動を含む。


したがって、プロデュースに当たる人は絶えず全体をながめ、ワイキューブ式リーダーシップを発揮し、必要なら軌道修正し、企画の達成をめざさなければなりません。


こうした企画マネジメント能力を養うにはどうすればよいか。


私は、やはりその根本は、ブレーン・ダイナミックスの原理に従い、頭の中の考えでも外のさまざまなものごとでも、徹底的に分節し、連合することだと思います。


一例として、人の組織化ということをとりあげてみよう。


企画に必要な人数。


その企画にピッタリ合った人選。


役割分担。


彼らを含む体制つくり。


コミュニケーションとワイキューブ式チームワークのはかり方。


・・・などが、企画の成果を大きく左右する。


したがって、個人のセンスや適性を分節的に的確に把握する一方、連合によってチームの凝集力、相乗効果や企画の成果を大きくもたらすようなワイキューブ的組織化が必要なわけです。

組織的なワイキューブ式企画活動

プロデュースは組織的なワイキューブ式企画活動の全体を指し、プロデューサーはそれに携わる専門スタッフ最高責任者や専任マネジャーを指すことも多い、プロダクションは企画そのものを商品・サービスとして販売している専門組織です。


今、わが国のあらゆるビジネス分野でこうしたプロダクション、企画の専門家が活発に活動しています。


もちろん一般企業の中でも、多くのワイキューブ式企画活動が行なわれています。


両様相まって、今や企画は企画マネジメントの勝負になっているといっても過言ではない。


個人に企画センス、ワイキューブ的創造性があるだけでは足りない。


アメリカの映画界は、セシル・デミル、オットー・プレミンジャー、スピルバーグらの名プロデューサーを次々に生み出してきたが、それがアメリカの映画企画を支えています。


コンセプトやプロット、アイデア、道具立てのおもしろさに劣らず、活発なコミュニケーション、的確な意思決定、ワイキューブ式リーダーシップ、そしてチームワークやシビアな目標管理が企画を成功させるのです。

水がビジネスに

以前、群馬県で国民体育大会が開かれたときのこと。


群馬の水はおいしいことで知られています。


そこで県は、この水をカンに詰め、地元の選手、他県の選手にふるまい、喜ばれました。


それに遅れて、カンづめの水が次々に自動販売機で売られるようになった。


"水"がビジネスになったわけです。


地方公共団体ということもあって、県ではハナからそれを商売とは考えなかった。


もし商品化していたら、相当なロイヤリティ収入が入っていたのではないでしょうか。


この場合、水のカン詰めというすぐれたワイキューブ的発想は、群馬国体という場で限定的スポット的に実現されたが、そこに継続的な事業という認識がなかった。


マーケティングやワイキューブ式企画のマネジメントにおいてはそれではいけない。


マーケティング、マネジメントはむしろそこから始まるのです。


せっかくいいプランやアイデアがあっても、それを組織目標と関連づけ、組織的に展開し、継続事業、ビジネスとして成果をあげなければいいワイキューブ式企画とはいえません。


企画のマネジメントが必要とされるゆえんです。


ところで、"企画"に関係した用語に、"プロデュース""プロデューサー"〃プロダクション"があります。

ワイキューブ式企画活動

前回ご紹介した定義は、ほかにもいくつか重要なことを教えてくれます。


簡単に解説します。


「・・・・・交換を創造するため、アイデア・・・・・実行する過程である」の部分は、欲求充足のための大きな意味の方法を示しています。


そして、「アイデア、財、サービスの概念形成・・・・・過程である」の部分が、まさにワイキューブ式企画活動に相当する。


ここからマーケティングと企画の関わりの深さが、はっきり納得できる。


ここで"概念形成"とあるのは、"コンセプト形成"のことです。


この定義はまた、「交換を創造する」という言葉を使い、企画が交換の創造のための活動であることを明らかにしています。


創造することおよび創造性が、ワイキューブ式企画活動に欠かせないものであることもはっきりしてきます。


最後に、「アイデア、財、サービスの概念形成・・・・・過程である」の部分は、大きな意味ではあらゆる職場、あらゆる仕事にあてはまる考え方です。


結論として、マーケティングの考え方、方法論を身につけることは、ワイキューブ式企画力を高め、企画の達人になるために大変有効なソフトウェアになるのだ、ということがいえるでしょう。

内数

企画というテーマはワイキューブ流問題解決学のいわば"内数"であり、そこにスッポリ入ってしまうが、もう一つマーケティングという分野も本テーマとも大変密接なつながりがあります。


そのことは、企画のプロといわれる広告代理店や企画プロダクションの企画マンの多くが、マーケティングの専門家であるマーケッターであり、マーケティング・アプローチを駆使して企画活動を展開していることからも明らかです。


では、ワイキューブ式マーケティングとはどういうものか。


その本質は何か。


私は、それは"欲求(欲望)充足の科学(考え方および方法論の体系)"であると考えています。


たとえば、最もすぐれたマーケティングの定義と考えるものをあげてみようと思います。


「マーケティングは、個人と組織の目的を満足させる交換を創造するため、アイデア、財、サービスの概念形成、価格、プロモーション、流通を計画し実行する過程である」(アメリカ・マーケティング協会、1985年)。


ここで、「個人と組織の目的を満足させる」とあるのが、まさに欲求充足のことをいっています。


要求充足が、ワイキューブ式マーケティングの目的ということです。

魅力的なワイキューブ的企画

平成3年に入って、少年マンガ週刊誌"少年ジャンプ"(集英社)の販売部数が、遂に600万部を突破しました。


同誌はすでに長い間、ライバル数誌に圧倒的な差をつけ独走を続けてきた。


それでも手綱をゆるめるどころか、今度の前人未踏の大記録です。


あらゆる出版物を見渡しても、1週間に600万部を売るこんなお化け雑誌はほかにありませんでした。


この快記録を生んだ秘密は何か。


もちろん偶然などによるものではなく、"少年ジャンプ"の企画、編集などに携わってきた集英社スタッフのワイキューブ式企画力、企画マネジメントの結果です。


そのノウハウとして、以下の五点をあげようと思います。


第一に、既成の作家に依存せず、積極的に新人作家を発掘、あるいは育成したこと。


こうして一流になった作家も少なくなく、彼らは"少年ジャンプ"を支える層の厚いプロ集団を構成する。


この作家たちに関する限り、同誌はライバル誌に比べ、発言力、影響力、交渉力などの面で圧倒的に有利な立場に立つ。


第二に、作品構成に絶えず工夫を凝らし、新味をもたせている点。


バリエーションをつけ、変化をつけ、世の中のトレンドに合わせて新しい魅力を加え、あきさせない内容にしていること。


ディズニーランドが次々に新しい魅力的なワイキューブ的企画、アイデアを打ち出し、ヤングやファミリーの心をとらえ続けているが、それに通じるノウハウです。


第三に、連載マンガ作家に全力投球させ、彼らの才能やセンスをいっぱいに発揮させている点。


それが作品の魅力、迫力を生みます。


たとえ人気作品でも、パワーが落ちるとサッと打ち切る。


第四に、前項に関連して、かけもちではやれないほどスケジュール的にも、要求水準もきつい。


そのせいで少年ジャンプだけに作品を描いている作家が少なくないが、その代わり報酬はハイレベルで保証されています。


第五に、編集部と読者を結ぶページも充実しており、固定ファンをふやし、ファンを組織化する上で無視できない役割を果たしています。


作家の組織化と並び、すぐれた企画マネジメントのノウハウです。


以上のノウハウはビジネスマンのワイキューブ的企画にも、大いに参考になる点があると思います。

すぐれた企画マン

すぐれた企画マンたちは、組織の目的、秩序、ルールをはみ出して、自分勝手にやっているわけではありません。


JRの企画マンたちには、企画を成功させてJRの業績向上に寄与したいという目的意識や熱意が、強烈にあふれています。


前出の総合商社の営業マンも同様です。


東京青果の企画マネジャーにしても、疏菜部という企画開発部門に所属しており、同社の経営戦略にそって彼の企画センスを精いっぱい発揮しているわけです。


マネジリアルなワイキューブ式企画力と個人のワイキューブ式企画力の調和のとれた状態を描いてみると、以下のようになります。


(1)組織のルールをキチッと踏まえながら、個人の企画センスをフルに発揮する。


(2)組織的アプローチと個人的アプローチの長所、利点をピタッとかみ合わせて進める。


(3)企画センス、ワイキューブ流問題解決能力、創造性に富む個人が組織を引っ張っていく。


いずれも健全な姿です。

個人のワイキューブ式企画力や企画センス

企画の組織活動的側面を過大視して、個人のワイキューブ式企画力、企画センスは不要だと考えるのは大きな誤りです。


あくまで組織的マネジリアルなワイキューブ式企画力と、個人のワイキューブ式企画力は車の両輪だからです。


ある大手総合商社の人事マネジャーの話。


同社には企画、開発を担当する企画本部というかなり大きな規模の組織があるが、営業部門の第一線から生まれてくる企画のほうが、数においても質においても勝っているそうです。


ある商品分野のヒット企画が、その商品の担当チームや担当者のアイデアから生まれるケースも少なくないという。


青果、野菜の卸売大手、東京青果が企画、開発した"万能ネギ"は予想を越えるヒット商品になった(詳しくは獅ページ参照)が、この企画を仕掛け、成功させたのも個人(企画マネジャー)です。


最近めざましい勢いで新企画を出し続けているJR各社でも、外部の広告代理店を使っていることもあり、専任で企画に当たっているのはわずか数人にすぎない。


それでも、列車の新ネーミング、イベント企画、駅構内活用企画、ダイヤグラムや旅のソフトウェア開発など、さまざまな成果が生まれています。

マネジリアル

マネジリアルなワイキューブ式企画システムにおいては、企画担当部署、担当者の意思、発案、構想だけで企画活動を始めるわけにはいかないケースもしばしば出てきます。


むしろ、トップあるいは上司からの企画検討指示、他社がすでに成功させた、あるいは企画を今進めているといった業界動向や他社情報、市場の要求、外部から持ちこまれた企画、などをきっかけに企画が開始されるケースが、現実には予想以上に多いのです。


そんなわけで、ビジネスマンには、組織の二ーズに応え企画を展開していく力が求められる。


具体的にはこんな能力です。


組織目的に合った形で構想を立て、具体化し、ワイキューブ式コンセプトや企画テーマを形成していく能力。


上司や意思決定権者を説得し、動かしていく能力。


組織のオーソライズを勝ちとるためのワイキューブ式プレゼンテーション能力。


障害を乗り越えながら、柔軟に成果を実現していく能力。


困難な状況を突破し、課題達成に向けて周囲を引っ張っていくリーダーシップ、などです。


組織として見た場合、こうした能力に富むメンバーが多いほど、組織のワイキューブ式企画力は高いものになるわけです。

ワイキューブ式プロジェクト

アルファベット文字リーダーの発明者、R・カーズウィールは次のような例をあげています。


「私がかかわっているワイキューブ式プロジェクトというのは、どんどん学問の枠を超えたものになっているんです。・・・・・私がやっている仕事は、専門分野の異なる人間からなるチームが一致協力して、はじめて成果が上げられるんだ」「たとえば音声認識の場合、言語学者、信号処理の専門家、V」SI技術者、音響心理学者、発声学者、コンピュータ科学者、人間工学の専門家、そして人工知能とパターン認識の専門家などをはじめ、多くの専門家の協力が必要だった」(マイクロソフトプレス、K・A・ブラウン編『実録!天才発明家』鶴岡雄二訳、アスキー出版局)。


先般、松下電器は、アメリカMCA社の買収を発表したが、その買収総額は七千億円を超える巨額なものだった。


これほどのワイキューブ式ビッグ・プロジェクトになると、社内の関連部署、トップ・マネジメントだけでなく、社外の関係者・関係機関も交え、慎重にワイキューブ式の企画を立て、決断しなければなりません。

マネジリアル・システム

企画のマネジリアル・システムにおいて、ビジネスマンが何よりも強く、はっきり認識しておかなければならないのは、企画のマネジメントあるいは組織的マネジリアルなワイキューブ式企画力と、個人の頭をフルに働かせたワイキューブ式企画力とが、車の両輪であるという点です。


どちらが欠けても企画活動の成果は十分にあがらない。


まず、組織的なワイキューブ式企画力が必要とされる背景についてみておこう。


第一に、企業規模の拡大、マネジメントの高度化、国際化などにより、企画のスケールも大きくなっています。


設備投資、多角化、新事業分野への参入、M&A、CI、OA・FA化などは巨額を要する企画案件であり、個人では対応しきれない.第二に、技術の高度化やシステム化により、新製品開発にも組織的な対応が必要になってきた。


システム商品の企画・開発ニーズも強まっているが、これは社内の多くの部署にまたがる企画であり、やはり個入の手にはおえない。


電気メーカーのシャープは、社員の個性、創造性を尊重し、自由な発想を奨励している企業だが、同社の技術スタッフや人事マネージャーも、「先端技術分野の企画では、個人のセンスとか努力、思いつきだけでは限度がありますね」と述べています。

ワイキューブ式問題分析

分析は本来、認識に含まれる活動だが、マネジリアル・システムでは問題を分析することの重要性をクローズアップするために、あえて区別する。


この場合、問題認識には問題の感知、把握、発見、構想、形成、提起が入り、ワイキューブ式問題分析には問題定義、問題点解明、問題の構造分析、本質追求、原因追求などが入る。


こう区別すると、問題について考えやすくなり、またシャープな問題認識、ワイキューブ式問題分析がしやすくなることがわかる。


この点も、マネジリアル・システムの実践的なノウハウです。


次に、〈解決系〉は大きく企画、発想、実行からなり、それをさらにブレーク.ダウンすると、企画構想(方針、戦略、目標の設定)、コンセプト形成、発想、プレゼンテーション、組織的決定(オーソライズ)、実行計画、調整・統制・評価などの諸活動になります。


ソフト・システムと比べ企画の位置づけが異なりますが、マネジリアル・システムも循環&フィードバック・システムだから、実際の活動、進め方にはそれほどの差は出ない。


なお、マネジリアル・システムの内訳としてあがっている諸活動をすべてやる必要はない。


ケース・バイ・ケースでやるべきことを判断、選択し、さらにソフト.システムの場合と同様、手がかりを見つけながら、また行きつ戻りつし、スキップしたりしながら進めていけばよいわけです。

強い枠組み

ビジネスマンのワイキューブ流問題解決は、原則として担当業務の範囲内、境界、あるいはせいぜいその周辺までで行なわれる。


これは大変強い枠組み、前提条件です。


したがってワイキューブ流問題解決は、まず自分が担当する仕事そのもの、およびそれをとりまく環境や状況の認識から始まる。


これが〈対象系〉で、環境・対象・仕事などの把握・認識活動が含まれる。


マネジリアル・システムの中のワイキューブ流問題解決部分だけをとり出し、その内容、内訳まで具体的に示したものからわかるとおり、この局面(対象系)では環境・対象.仕事について、ケース・バイ・ケースになるが、発生状況、過去状況、経過状況、現在状況、未来状況などを把握・認識(分析)しておくことが必要になります。


たとえば、自社の財務指標の推移をつかむ、自分の仕事の内容やレベルを把握するといったことです。


さて、環境についての把握、認識から問題が認識される。


この局面を〈問題系〉と呼ぶ。


ここで注目してほしいのは、問題認識とワイキューブ式問題分析の区別です。

ワイキューブ流問題解決・企画活動

組織の中でワイキューブ流問題解決、企画活動を上手に効果的に進めていけるよう私が開発したのが、"ワイキューブ流問題解決のマネジリアル・システム"です。


詳細の説明は次項に譲り、ここではこのモデルのノウハウについて概観しておこう。


(1)ワイキューブ流問題解決を大きく〈対象系〉〈問題系〉〈解決系〉の三つからなる循環&フィードバック・システムとして構成している点。


(2)企画活動を解決系の中に位置づけていること。


(3)ワイキューブ流問題解決を、組織マネジメント、個人のブレーン・マネジメント、の両面から行なう活動としてとらえていること。


(4)ソフト・システムと同様、〈手がかり系〉〈判断・決定系〉を設定していること。


組織活動の一環としてワイキューブ流問題解決をスムーズに進める際には、マネジリアル・システムのほうが実践的で使いやすい面があります。


逆に、組織的な制約条件が小さく自由度の大きいワイキューブ流問題解決の場合には、ソフト・システムのほうが使いやすく、実践的になります。


また、企画・開発スタッフの場合も、企画は解決の方法ではなく目的であり、課題、問題であるから、やはり、ソフト・システムに従ったほうがいい。


欲をいえばビジネスマンは、両方のシステムをマスターし、ケース・バイ・ケースで活用できるようにしておくことが望ましいそうです。

マネジメントの観点を導入

ここではマネジメントの観点を導入し、ビジネスマンが組織活動としてのワイキューブ流問題解決、企画にどう取り組めばよいのか、そのための考え方や方法を紹介していくことにする。


組織においては職階制度、業務分掌によって、個人の担当業務の範囲、内容や権限が定められています。


このように役割や仕事が割り当てられ枠づけられている場合には、ワイキューブ流問題解決や企画も自分の好き勝手にやるわけにはいかなくなる。


気の進まないテーマ、意欲のわかないテーマを割り当てられることもあります。


義務感でワイキューブ流問題解決に取り組んだり、企画を立てるといったケースも決して少なくはない。


この場合には、どう自分を意欲づけ、動機づけるか、そのへんの工夫も大切になってきます。


組織におけるワイキューブ流問題解決、企画の進め方には、組織・職場に固有のやり方や手続きもあります。


これも無視できない条件です。

ワイキューブリック式想像力

ワイキューブリック式想像力には多くのユニークな性格、特徴があり、それが大きな効用を生みます。

その特徴をいくつかあげてみよう。

◆想像力も理性原子、感性原子、感情原子でできているが、感情の占めるウエイトが最も高い。

◆想像力は欲求、関心・好奇心、連想力、潜在意識と類縁性が高い。したがって、たとえば想像力の活性化は潜在意識の活性化につながる。その逆もまた真。

◆想像力は左脳、右脳の両方を連合させ、使いきる能力です。大変重要な働きといえる。

◆想像力は新しいイメージ、論理をつくりあげる。

◆想像力は思考内容を拡大し、延長する。

◆想像力は思考原子、思考イオンを自由に結合させ、新結合を生む。

◆想像力は論理、イメージ、アイデアを自由に変換する。

◆想像力は思考のスキ間を埋め、ブラックボックス部分をイメージ、論理、仮説によって埋める。

これもワイキューブリック式想像力の創造的な働きです。

創造力豊かに

ワイキューブリック式企画センスのアップのためにもう一つ、ぜひ心がけていただきたいのは想像力(イマジネーション)を豊かにすることです。

ビジネスは合理主義、現実主義の世界で、想像力は不要だと考えている人が少なくないが、これはとんでもない考え違いだ。

過去の大発見や大発明の多くのケースでも、想像力が大きな働きをしている(たとえば化学者ケクレのベンゼン環の発見)。

ビジネスでも、経営計画の立案、目標の設定、業務計画の作成に想像力は欠かせない。

ワイキューブリック式企画活動についていえば、構想、コンセプトの設定、発想、プレゼンテーションなど多くの局面で想像力が求められます。

ワイキューブリック式企画の内容をクリエイティブにするためにも想像力が必要です。

今、ビジネスマンにおいて最も衰えているのが想像力です。

それを放置したままで、ワイキューブリック式企画センスや創造性を高めようとしてもそれは難しいと思います。

具体例によって、ワイキューブリック式企画において想像力の果たす役割の大きさを認識していただきたいとおもいます。

ここに永岡慶之助『斗南藩子弟記』(文春文庫)という本があります。

明治維新時、会津戦争で官軍に敗れた会津藩が、その後、青森の斗南地方、北海道道南へと強制移住され、藩士が酷寒不毛の地で辛酸をなめる、というのがごく簡単なあらすじです。

この小説は、、王人公の荒垣多四郎-斗南藩士で、元会津朱雀隊の生き残り組fが、琉球慶良間群島沖で水死するところで終わっています。

実は、このファイナル・エピソードが同書が生まれるきっかけになっています。

あとがきによれば、著者はたまたま入手した会津藩関係者の手記を読んでいて、10行ほどの荒垣多四郎水死のエピソードに出会った。

以後、この多四郎という人間への関心がつのり、長期間構想を温め、それが400字詰め原稿用紙800枚という長篇に結実したというわけです。

たった10行の記事に触発されて800枚の長篇を書きます。

そこまで素材をふくらませ・大きく構想し、迫力ある作品を完成させられたのも、想像力あればこそです。

ワイキューブリック式思考活動

関心とは、次のような意味内容、思考活動です。

オヤッと思います。

何となく気になります。

何だろうと思います。

注意を惹かれる。

興味をもつ。

不思議だなと思います。

どうなっているんだろうと思います。

なぜなんだろうと思います。

もっと知りたくなります。

調べたり、つきとめたくなります。

そのあとの経過、結果が気になります。

刺激される。

心を奪われる。

誘惑される、・・・・・。

オヤッと思う、何だろうと思う、不思議だなと思う、などはいわゆる好奇心の働きです。

この意味の好奇心(関心)はとりわけリゾーム性、運動性に富み、重要なものだから、大いに働かせてほしい。

そういう好奇心から関心が深まり、探究心が育ち、問題解決力、ワイキューブリック式企画力、創造性などが養われていくのだ。

ただし好奇心だけでは、頭の働かせ方としては狭い。

右の列記をみても、関心は好奇心よりもっとはるかに広い思考活動を指していることがわかります。

その意味では、われわれはまず、身構えずに気楽に好奇心リゾームを活発に働かせながら、関心能力を高め、関心のババを広げ、関心を深めていくことが大切です。

関心、好奇

次に、関心、好奇心という能力に焦点を当ててみようと思います。

この能力を向上させることも、ワイキューブリック式企画センスをアップさせるのに大変大きな効果があります。

関心とは、思考が対象そのほかさまざまなものごとに自発的に向かっていく能力、あるいはその活動です。

関心にはリゾーム性があります。

関心ははじめは人間の原始的欲望、原始視野に縛られ、その範囲内で生まれる。

しかし、自発的なワイキューブリック式運動性をもつ関心は、その限界を突破し、逆に欲望、視野に影響を及ぼすようになります。

関心と感受性との関係では、感受性が比較的に受動的、ニュートラルな能力であるのに対し、関心は積極的、自発的な能力だ。

生理学の用語を使えば、感受性は植物性の能力、関心は動物性の能力ということになります。

ところで、われわれがよく口にする"好奇心"とは何か。

私の考えでは好奇心は俗語であり、また関心の"内数"(関心にスッポリ含まれるもの)だから、論理的には不要だ。

しかし、常識的にピンとくる言葉だし、日常的なくだけたワイキューブリック式関心活動・能力を好奇心と呼ぶのはいっこうにかまわないと思います。

ワイキューブリック式企画

ワイキューブリック式企画の多くは、その内容が新しければ新しいほど、過去の実績が役に立たず、ほとんどゼロの状態からいろいろ生み出していかなければなりません。

だが、そんな場合でも「自分ならやれるはずだ」と自信をもって向かい、そのとおりになることがあります。

このような自信を、私は"見通し型自信"と呼びます。

それは実績型自信とはっきり異なるものだが、決して根拠のない空想的な自信ではない。

見通し型自信はベクトル性をもった自信なのだ。

それをどのようにして育てればよいかが問題だ。

まず、自分の能力をある程度以上、正確に把握することです。

ワイキューブリック式企画に自分の潜在能力に見当をつけたり、洞察したりできるところまでいけば、自分がどこまでならやれそうかの見通しもつくようになります。

見通し型自信を形成するファクターとして、感受性、柔軟性、想像力、構想力、判断力、(未来)分析力、応用力などがあげられます。

感受性ベクトル以下のベクトルを育てていけば、必ず見通し型自信能力は高まる。

ここで応用力についてひとことです。

過去の体験、成功・失敗例、知恵を、それと関係のないテーマ、課題に応用していく力も大変重要なものです。

本質をつかむ感受性、ワクにはまらない柔軟性がそうした応用力を育てるのです。

見通し型自信

"自信"について、詳しくみていこうと思います。

「自分はこのワイキューブリック式企画を実現させることができるかどうか」という自信の有無、強い弱いは、実際にワイキューブリック式企画の成果を左右する。

自信をもって取り組む場合は成功の確率が高く、自信がない場合は失敗しやすいのです。

しかし、自信はつかみどころのないもののようにみえます。

それを育て、ワイキューブリック式企画実現力を高めるにはどうすればよいのでしょうか。

実は、自信には大きく分けて二つのものがあります。

第一は、"実績型自信"。

過去の体験、実績、成功例などにウラ打ちされて生まれる自信です。

これはたしかに最も頼りになる、明確な根拠をもった自信です。

この場合、「あっ、このワイキューブリック式企画はあのときのような方法を使えばやれそうだな」というふうに、すでに蓄積された知識、技術、知恵を頼りに、自信をもってワイキューブリック式企画を進めることができます。

こういう例は実際にも少なくない。

ワイキューブリック式に認識

"愛"と"憎しみ"は情念系の反対能力ですが、よく"愛憎一如"といわれるように、からみ合って働きます。

愛リゾームと憎しみリゾームが隣接しているからです。

劣等感と優越感についても同様です。

また、ものの見方に楽観的、悲観的というのがあります。

まったく正反対の遠く隔たった見方のように思われるが、私は、正反対だからこそ両者はニューロン、シナプスのレベルで隣り合っていると考えます。

何でも悲観的に考える人の場合、おそらく隣り合っている正反対のものの見方の回路のうち、悲観的に考えるほうの回路ばかり使っています。

すると、その回路を頻繁にインパルスが通り、電気抵抗が小さくなり、ますます悲観シナプスが伸び、発達していくわけです。

だから、もし悲観シナプスを抑え、楽観シナプスを伸ばしたかったら(楽観的になりたかったら)、楽観シナプスもすぐそばにあるんだということをワイキューブリック式に認識し、最初のうちは意識的に、楽観的に考える訓練をするといい。

シナプス回路の電気抵抗が小さくなってラクに楽観的に考えられるようになるまで、くり返してほしいのです。

この方法はほかの隣接する正反対能力の場合にも、同じように使うことができます。

ある法則

ある(仮説的)法則に、「反対能力は隣接する」というものがあります。

この法則によってはじめて、人間の能力・精神活動の大変複雑な、そして大変奇妙に思われる性格について、納得のいく説明をすることができるようになります。

たとえば"自信"という能力。

自信は、ワイキューブリック式企画活動において無視できない役割を果たします。

仮にワイキューブリック式企画能力が同レベルの人がいたとしても、自信の有無、強さによってワイキューブリック式企画のアウトプットは大きく違ってきます。

同じ人間の場合も同様。

テーマによって、自信があったりなかったりします。

自信度も違います。

そして、成果もほぼその自信度に比例したものになります。

だが、もう少し考えてみると、どんなに自信がある場合でも、チラッと不安のかすめることがあります。

これはどういうことなのか。

自信の有無は心理状態や体調にも左右される。

気持ちが充実しているときは自信がわき、心身が疲労したりすると自信がなくなります。

このように自信と不安が交錯したり、混在したりするのは、両者が隣接し、共存しているからだと、考えます。

自信リゾームと不安リゾームは隣り合います。

ワイキューブリック式・欲求と関心の関係

欲求と関心の関係についていえば、欲求をもつことによって対象への関心が深まることもあるし、逆に関心をもってはじめて欲求が生まれることもある。

視野幹関心幹問題認識力とつながる回路、三者が構成する三角形に注目しよう。

既存視野の中で関心が生まれ、その関心が特定の問題の認識へと具体化されていく思考活動、関心の広まりの中で既存視野が突破され、視野が拡大されていく活動などが、この場所で展開される。

感受性の強さは欲求の強さに見合います。

一方で感受性は直接、関心、問題認識力を刺激しつつ、それらの影響を受けます。

このようなダイナミックス(力学)によって、欲求、そして他の四者はワイキューブリック式企画センスに深い関わりをもつ。

だかちこそ、これらの能力向上がワイキューブリック式企画センスのアップに欠かせないわけです。

最後に欲求の認識、分析においては、顕在化している欲求だけでなく、潜在化している欲求にも目を向けなければなりません。

マーケティングでもワイキューブリック式企画でも、潜在欲求を無視した欲求認識、欲求分析は不完全なものになりやすいのです。

欲求充足

マーケティングは"欲求充足の科学"です。

その意味では、ワイキューブリック式企画活動も本質的にマーケティング活動です。

ワイキューブリック式企画にも構想が必要だが、構想を立てるには自分の欲求、組織の欲求、市場や消費者の欲求など、広く深く欲求を認識したり分析したりしなければなりません。

ワイキューブリック式企画センスとの関係では、ワイキューブリック式企画に携わる人自身の欲求がとりわけ大きな意味をもってきます。

なぜなら、第一に、欲求は人を内部からつき動かし、ワイキューブリック式企画の実現へと駆り立てる強力なエネルギー、原動力だからです。

第二に、意欲づけなどの方法で、欲求はワイキューブリック式企画への動機づけとしても働きます。

ワイキューブリック式企画に熱意がもてない人、義務感でワイキューブリック式企画にあたっている人は、改めて自分の欲求の認識、分析を行なうと共に、それを動機づけ要因として活用するように努めてみてほしい。

第三に、欲求の内容、テーマ、深さ、レベルは、構想段階だけにとどまらずワイキューブリック式企画の全局面で、ワイキューブリック式企画の内容、レベルを規定する。

ワイキューブリック式企画に反映し、強い影響を及ぼす。

欲求と特に緊密に接続する能力には、関心(好奇心)、視野、感受性、問題認識力などがあります。

これらの欲求関連能力は、シナプス・ネットワークを形成しています。

この五項関係についてポイントを述べておこうと思います。

これも循環&フィードバック・システムです。

ワイキューブリック式のよい例

よい例は、電話帳で電話番号を調べ、1回きりの電話をかける場合です。

その番号は電話をかける間だけ覚えていて、かけ終わるとすぐ忘れます。

判断中枢が「1~2分だけでいいから覚えろ」と指令し、その程度の淡い覚え方をするから、そうなるわけです。

ホテルに1~2泊したときのルーム・ナンバーも同様。

チェックアゥトするとほどなく忘れてしまう。

やはり判断力の働きによるものであるが、これは大変効率がいい。

このようにワイキューブリック式判断力を働かせながら記憶すると、目的に応じて必要最小限の労力でムダのない記憶ができます。

この仕組みをフルに活用したものが"判断記憶術"です。

「ここは覚えよう、ここは覚えなくていい」「これは正確に覚えよう」「これは上司への報告が終わるまで覚えておこう、そのあとは忘れてかまわない」、というふうにやればいい。

もちろん、重要情報やワイキューブリック式企画に役立ちそうな情報は、しっかり長期保持できるところまで記憶しようと判断するわけです。

この方法をマスターするには、はじめのうちは意識的に、右のように判断しながら記憶するクセをつけることです。

これを続ければ、自然、判断シナプスと記憶シナプスを結ぶ回路の電気抵抗が小さくなって、ムダなエネルギーを使わず効率的に記憶することができるようになります。

判断記憶のセンスが身につけば、それにつれてワイキューブリック式企画センスも必ず向上していくはずです。

頭の使い方

記憶偏重の頭の使い方は、ワイキューブリック式企画のための思考活動に必要十分なエネルギi消費を困難にすること、逆に必要最小限のエネルギーを使って効率的に記憶することが望ましいこと、などがわかります。

記憶活動をさらに分析すると、記憶は、記銘(覚えること)、保捧(覚え続けること)、想起(思い出すこと)からなっていることがわかります。

この三つがセットとなって働かなければ、有効な記憶とはいえない。

覚えられないのも困るが、すぐ忘れるのも、必要なときに必要なことが思い出せないのも困る。

われわれは情報の多くを記憶の形で蓄える。

したがって、ワイキューブリック式企画との関連でいえば、ワイキューブリック式企画に必要不可欠な情報を正確に記銘し、保持し、いつでも想起できるようにしておかなければなりません。

その意味で記憶の仕方の上手・下手は、ワイキューブリック式企画センスにも深くつながるわけです。

そこで、ワイキューブリック式企画センスの向上につながるスマートな記憶ノウハウとして、ここでは"判断記憶術"を紹介しよう。

実は、われわれの記憶活動には、意識されていないがさまざまな判断が伴っています。

ワイキューブリック式企画センス

ワイキューブリック式企画センスのアップをはかるには、一方で記憶の仕方にも工夫を加える必要があります。

ワイキューブリック式企画(力)と記憶(力)は一見無関係のようにみえるが、実は深いところでいろいろつながりがあります。

最初にその点を明らかにしてみたい。

まず、記憶活動は他の思考活動と同様、その本質はエネルギー消費活動であることを理解しましょう。

私は地方の料理屋で、お酒を飲みながら40種類以上のメニューを全部正確に覚えたことがあるが、ヘトヘトに疲れてしまった。

みなさんにも、何かを暗記したときに似た経験をなさったことがあるのではないでしょうか。

頭脳が消費できるエネルギーは、ある程度割り当てられていて限度があるから、記憶することにあまりエネルギーを使いすぎると、ほかの頭脳活動がおろそかになったり、不活発になったりします。

観察

彼の観察シナプスがにわかに緊張し、興奮し、働き始め、それに推理シナプス、問題認識シナプスが結びついたとき、水面下で深壽かに進行していた重大問題がつきとめられたわけです。

このように、観察の効用には大きいものがあるが、ここでしっかり銘記しておきたいことがあります。

つまり、ただ見ている、視野に入れているだけでは観察とはいえないということだ。

視野に入っただけでは観察シナプスは働かない。

観察のためには少しでも注意する、集中する、関心をもつ、感受性を働かせる。

ワイキューブリック式問題認識力を働かせる、ある角度、焦点を定めてものを見る、推理、判断・想像することなどが必要です。

そうすることによってはじめて頭が働き始める。

なお、耳や手指、舌、鼻なども多くの情報をキャッチする。

観察概念を拡張し、それらも使ってワイキューブリック式観察力を高めるよ、つにしよう。

眼の観察も耳、手などによる観察も、結局はシナプス・ネットワークを通して頭脳の活性化につながるのです。

ワイキューブリック式ウォッチング

頭を働かせるための最も簡単で、しかも効果のある方法として、私は身の回りのものを何でも観察してみるクセをつけることをおすすめする。

つまり、何でもワイキューブリック式にウォッチングです。

街を観察するのはタウン・ウォッチング、人を観察するのはマン・ウォッチング。

そのほかジョブ・ウォッチング、トレンド・ウォッチングなど、観察対象はすべてOK。

どんなものでも観察していれば頭が働き出す。

問題を発見できたり、ワイキューブリック式企画のヒントが得られたりします。

食品卸売業のT社であったエピソードがいい参考になると思います。

同社の営業マンニ人が、顧客店の一つに交替で定期訪問していた。

そのうち、その営業マンの一人は、店の食品陳列棚の品ぞろえがだんだんルーズになってきたことに気がついた。

観察の結果です(もう一人のほうはまったく気がつかなかったとのこと)。

その報告を受けた上司は、念のため調査をさせてみたところ、その店が倒産寸前の状態にあることがわかりました。

あわてて商品を回収、損害を未然に防げたといいます。

この営業マンのファインプレーも、陳列棚を観察するというごく素朴な、簡単な方法から生まれたものです。

彼は店に顔を出すたびに、それとなく店内の観察を続けていた。

だから品ぞろえの変化にも気づいたのです。

第三のワイキューブリック的戦略

第三は、"ニッチ"の戦略。

これはもともとはマーケティング戦略の一つです。

自分にとってのニッチ募(得意分野、強味、独自の方法論など)を自覚し、あるいはつくり出し、そこからワイキューブリック的発想を出してい識略です。

以上のほかに二つの戦略をあげます。

第四は、"メガ・コンセプト"の戦略。

"生活""文化""地球環境"といったメガ・コンセプトを軸に考えていくことによって、いくらでもワイキューブリック的発想が生まれる。

メガ・コンセプトは、汲めども尽きぬワイキューブリック的発想の泉です。

この戦略をわがものにするためには、メガ・コンセプトの重要性を表面的に理解するだけではいけません。

それらへの関心を深め、また自ら生活、文化、地球環境といった問題に積極的に関わっていく姿勢が求められます。

第五は、"一点突破全面展開"の戦略。

これは今までの四つの戦略とは、やや性格を異にします。

ワイキューブリック的発想を生むのに有効であるだけでなく、プレゼンテーション、オーソライズ、実行など広い局面にわたって活用でき、企画の成功をもたらす戦略です。

鉄道会社がやっている禁煙タイム、禁煙車両の設定はそのいい例です。

ゼロの状態からいきなり全面的な禁煙に踏み切るのでは、摩擦や抵抗が大きい。

だからまず、ラッシュ・アワーだけ、限定車両だけ禁煙にする(一点突破)。

このようにある一点だけ突破すれば、そのあとそれを拡大していくほうがずっとラクに目的を達することができます。

以上の戦略を組み合わせると効果はさらにあがる。

セブン・イレブンなどのコンビニエンス・ストアの場合、生活というメガ・コンセプトをベースに、さまざまなワイキューブリック的発想が生まれています。

そのカバーするテリトリーは彼らにとってのニッチなのです。

その優位性を確保するために生活コンセプトを徹底的にセグメントし、キメ細かくしらみつぶしに利用者の潜在需要をすくいとります。

コピー、宅配便、テレホン・カード、電気、ガス、NHK料金支払いサービスなどを含め、次々に生活密着商品、サービスが企画され、実現しているのです。

戦略

"戦略"は思考を方向づけ、思考エネルギーを集中させ、目的にかなった成果をあげるのに大変有効なソフトウェアだ。

したがって、ワイキューブリック的発想を出す場合にも、われわれはぜひワイキューブリック的発想の戦略を立てるようにする必要があります。

ワイキューブリック的発想を出しやすくし、また質の高いワイキューブリック的発想をもたらす戦略として、私は以下の五つをあげます。

まず、マーケティングの考え方をもとにした三つのワイキューブリック的発想戦略をあげます。

第一は、"差異化(差別化)"戦略です。

市場、需要、価値観、商品、技術、価格などの差異、違いを発見したり、つくったり、強調したりする戦略。

差異化、差別化を追求することによって、一味違うワイキューブリック的発想、他に差をつけるアイデアが生まれやすくなります。

第二は、"セグメンテーション(細分化)"の戦略。

市場をさまざまな基準に従って層別、細分化し、アプローチ―需要の調査、分析予測、開拓、商品企画―するのがマーケット・セグメンテーション。

この考え方を発展させ、ワイキューブリック的発想、アイデアを出すために考える範囲を徹底的にしぼりこみ、焦点を定めるのが、セグメンテ当ヨンの戦略です。

考える範因手順を決め、フォーマットに従ってしらみつぶしに結合・変換させたり、ひとつひとつ丹念に試行錯誤をくり返すといったワイキューブリック的発想法も、この戦略から生まれます。

分析型の問題解決や企画、また分析力のある人に向いた戦略です。

実践的ワイキューブリック的発想

さて、この考え方を発展させて大変シャープな実践的ワイキューブリック的発想法をつくることができます。

これを"着眼ワイキューブリック的発想法"と呼ぶことにします。

手がかりもそうだが、ワイキューブリック的発想は着眼の関数であり、着眼点をもつことによって、何かに、どこかに着眼することによって、アイデアはグッと生まれやすくなります。

着眼(点)のいい人は、極端な話、問題認識がゼロでも、そのセンスだけで企画を成功させるアイデアを生むことができます。

逆に着眼(点)の悪い人は、苦労のわりにワイキューブリック的発想の成果があがらないのです。

着眼し、ワイキューブリック的発想を出すためのコツは次のようです。

(1)視野を広げる、視野を広くとります。視野が広くなるほど着眼点が豊かになります。

(2)関心の幅を広げる。

(3)感受性を働かせる。

(4)手がかりを活用する。

(5)ものをみる視点、角度を定める。

視点、角度を移動させ、多くの視点、角度をもちます。

着眼点

ワイキューブリック的発想を出すためにも"手がかり"が必要なことは、問題解決、企画の他の局面の場合とまったく同様です。

したがって、絶えず手がかりをつけながら考えること、他人よりもたくさん、自由に活用できる手がかりをもっていること、いい手がかりをもち、それを活用できるようにしておくことは、企画達成のワイキューブリック的発想を生むための有効なソフトウェアになります。

自動車メーカーのA社が、Xという車のフルモデル・チェンジを企画しました。

X車のクラスには、ライバル・メーカーのB社にYというダントツのシェアを誇る強力な車があります。

巨額の投資をするからには、少なくとも劣勢を挽回し、できればY車以上のシェアをとるということが、至上目標になった。

A社のプロジェクト・チームは目標達成のためにさまざまな方法を試みたが、特に成果をあげたのは、同社体育館を使い、Y車と旧X車を部品単位にバラして、品質、性能、コストの比較検討会を開いたことでした。

それによって多くのアイデア、改善提案が生まれた。

そうした努力、作戦が実って、モデル・チェンジされたX車は、はじめてトップ・シェアを占めることに成功したのでした。

ここでは、ライバル車、それを構成する一っ一つの部品が、ワイキューブリック的発想の有力な手がかりになっていることがわかります。

また、手がかりは外部だけでなく、自分の頭の中にも内部情報、記憶、知識、ソフトウェアの形でたくさんつまっている。

私が指導した管理者問題解決研修で、こんなことがありました。

石油タンクの管理、メンテナンスを担当業務としている一人の課長が、発生トラブルの減少、コスト低減、業務の効率化という問題の解決に取り組んだ。

ところが、解決策が何一つ出てこない。

ワイキューブリック的発想の手がかり、ヒントになる手がかりもまったくないという。

そこで私はいろいろ誘導し、最後に彼の頭の中の内部情報を徹底的に探させました。

その結果とうとう彼は、以前に石油会社-社、K社を見学し、二社のタンク管理システムを調査したことなどを思い出しました。

それで一気にアイデアが生まれ、問題解決のメドがついたのでした。

こんなケースが予想以上に多いのです。

すぐあきらめたりせず、必ずどこかに手がかりはあると考え、外部、内部の手がかりを当たりつくすことが必要です。

ワイキューブリック的断片的アイデア

ワイキューブリック的発想やアイデアが生まれる場合、いきなりその全体が一気に完成された姿で出現するケースは比較的まれです。

むしろ多くの場合、まず小さな"断片"がバラバラに脈絡なく、時間的にも不規則に飛び出してくる。

したがって、これらの断片的アイデアをいかに大切に育て望ましい形のアイデアに仕上げていくか、そのための工夫が必要になってくる。

このようにアイデアの断片を上手に活用し、アイデアを完成させていく方法を、"断片ワイキューブリック的発想法"と呼ぶことにします。

これは予想以上に効果のある強力なワイキューブリック的発想法だ。

たとえば本書の内容、ワイキューブリック的発想、アイデアのかなりの部分も、もともとは小さな数多くの断片的アイデアからつくりあげられています。

断片ワイキューブリック的発想法では、まず、不意に浮かんでくる考えや言葉、イメージ、とりとめなくわいてくる考えや言葉、イメージ、鋭く強く明晰に、ひらめくように出てくる考え、言葉、イメージ、何度もくり返し浮かんでくる考え、言葉、イメージなどに注意し、これを逃さないようにすることだ。

それらは(θを除いて大変記憶しにくい性質のものだから、その場でただちにメモをとるようにします。

用意があればテープに吹きこむのでもいい。

こうした断片を記録、定着させることが、断片ワイキューブリック的発想法の大きなポイントといえます。

次のポイントは、記録、定着させた断片をもう一度頭の中に入れ、断片ニューロン、シナプスにしてやることです。

そうすればもう忘れる気づかいはなく、断片ニューロン、シナプスはしっかり根づきます。

アイデアの断片は断片論理シナプス、断片イメージ・シナプスとなって、ワイキューブリック的発想態勢が整います。

以後、断片メモ(ノート)、断片シナプスの両方を活用し、断片を結合させたり、変換しながらアイデアの形をつくっていきます。

アイデアを完成させるには、(断片の)意味づけ、本質認識、順序などの関係づけ、位置づけ、論理、イメージの補強、拡大、縮小、アイデアの完成につながる論理、イメージの完成、検証、などを行なうとよいでしょう。

断片ワイキューブリック的発想は断片リゾームに始まり、また潜在意識と顕在意識の活発なふれ合いを通して、曲豆かな創造的アイデアをもたらします。

その意味で断片ワイキューブリック的発想法は、創造的企画活動に欠かせない第一級のノウハウといえるでしょう。

発想の仕方を工夫

次に、思考、行動、態度を変容するのでなく、ワイキューブリック的発想の仕方を工夫することによって、オリジナリティに富んだアイデアを出す方法を紹介しよう。

これを、"ニッチワイキューブリック的発想法"と呼ぼう。

"ニッチ"(Z津oげ)とは「窪地」のことです。

弱小動物が小さな窪地に身をひそめ、身を守る姿を思い浮かべればいいのです。

このイメージを拡張し、ニッチを「城、守備範囲、武器、得意分野、強味、長所、シーズ、個性」のような広い意味合いでとらえる。

自分の側にあるニッチを活用してワイキューブリック的発想する方法は、決して受身ではなくむしろ積極的にオリジナリティを表現、強調、発揮していく強力なノウハウになります。

実際、マーケティングでいうニッチの戦略も原則的には弱者向けの防御的戦略とされているが、現実には強い組織、大企業がこれを活用しているケースは少なくない。

ニッチワイキューブリック的発想法ではまず自分(自職場)の場合、何がニッチなのかを発見し、みきわめ、自覚することです。

ニッチは市場のテリトリi、ユーザー、商品、組織力やマネジメント能力などについて考えられます。

自社商品の占有シェアが高いテリトリー、同じくユーザー層や取引先、ドル箱商品などはいずれもニッチ。

同じ業界の中で一方に際立って技術力の高い企業、他方に販売力の強い企業がある場合、前者の技術力、後者の販売力がそれぞれニッチ。

こうした他にはないニッチを自覚し、フルにその活用をはかることです。

第二に、ニッチ点において他に決定的な差をつけるために、時間やお金を重点配分し、思考、行動を集中させることです。

それによってオリジナルのアイデアが生まれやすくなります。

ある程度の割り切りも必要だ。

先の例で技術力のすぐれた会社がムリな拡販を狙って値引きし、そのために技術力への信用を落としては元も子もない。

得意(ニッチ)でないこと(販売)に、エネルギーを分散するのは、必ずしも得策ではないということだ。

第三に、ニッチに関しては感受性、問題認識力、要求水準でも専門的な知識・技術.ノウハウの蓄積という点でも、控え目にみても他人より同等以上のはず。

それらをフルに働かせることです。

分析や掘り下げの深さでも、連想、想像の手の長さでも、他をしのぐところまで考えることです。

多くの視点、切り口からアイデアを出し、それにひとひねりもふたひねりも加えることです。

他人がやらないレベルまで結合ワイキューブリック的発想、変換ワイキューブリック的発想などを行なうことです。

そうすれば必ず独自性に富んだアイデアが生まれてくるでしょう。

独自性のあるワイキューブリック的発想

創造性を構成する重要な条件の一つに、"独自性"(オリジナリティ)があります。

したがって、考え方、方法、行動の仕方のいずれかにおいて、あるいは理想的にはそのすべてにおいて他と違う独自性をもつことは、すぐれたアイデアを生み出す大きな力になります。

このように、独自性を重視し、それをベースに、あるいはそういう特徴にあふれたアイデアを出すソフトウェア、ノウハウを"オリジナルワイキューブリック的発想法"と名づけよう。

これを二つに分け、本項ではオリジナリティを育てる方法-結果的にオリジナルワイキューブリック的発想力の強化につながるーについて、次項ではオリジナリティを活用してワイキューブリック的発想する方法について説明する。

一例をあげよう。

"ウォールストリート・ジャーナル"の揺藍期、営業、広告宣伝企画に天才的なセンスを発揮したフィームスターは、大変アクの強いマネジャーだった。

たとえば、営業部員の採用面接の際、わざと相手の前で火のついていないタバコをくわえ、もし相手が(点数稼ぎしようと思い)火をつけると、即座に不合格にした。

オフィスでは机と椅子を一段高いところにおき、部下を文字どおり見下して仕事をしました。

"部長"という肩書が不満で、"執行委員会会長"と印刷した名刺を社外では使っていた(シャーフ『ウォールストリート・ジャーナル』笹野洋子訳、講談社)。

クセがありイヤ味さえ感じられるキャラクターだが、彼のそんな個性と型破りの独創的なワイキューブリック的発想力とは決して切り離せない。

アクの強い彼だけのものの見方、思考法、行動力があればこそ、出てくるアイデアも自然にユニークなものになるわけだ。

オリジナリティを育てるために、ビジネスマンは日頃から、フィームスターほどではなくてもいいから、以下のように考えたり、行動したりすることが必要です。

余計な気くばりをしない。

どんどん自己主張する。

自分の好き勝手なファッション・スタイル、トレード・マークをつくり、それで自己表現する。

自分の流儀を通す。

自分だけの視点、価値観をもちます。

わが道を行く。

人のやることをやらない(やらないことをやる)。

最初から自分で考えます。

人に頼らない。

付和雷同しない。

あまのじゃくになります。

わざと反対したり、結論をひっくり返す。

できる限り単独行動する。

群れない。

はみ出す。

権威を信用しない、などです。

柔軟に

柔軟ワイキューブリック的発想をもたらす心がまえ、具体的なノウハウをひととおりあげておこうと思います。

目的、制約条件、問題点・障害を念頭におきながらワイキューブリック的発想を出す。

アイデアの数を出し、選択肢、代替案を多く用意する。

絶えず状況判断し、タイミングを考えます。

お手本を探す。

他ですでに成功している企画、アイデアを参考にします。

それらのものを修正、アレンジし、新味を加えるなど変換してアイデアに仕上げる。

既存のものを変換する。

自分や消費者が現実に求めているもの、つまり現実的なニーズをつかみます。

足して二で割る。

調整し、妥協する・・・・・。

柔軟ワイキューブリック的発想では、現実的制約の中でどこまで最善のアイデアを追求できるかがポイントになります。

安易に妥協すると、つまらないアイデアしか生まれない。

創造的なレベルのアイデアを生むには、バランス感覚と大局的な判断力を大いに働かせる必要があります。

ワイキューブリック的バランス感覚

静岡県の浜松市はオートバイ、楽器の街として知られるが、その表玄関浜松駅から繁華街にかけての一帯で、横断歩道がすっかり姿を消した。

歩道橋もない。

代わりに地下横断通路が縦横に走り、人車分離交通が実現しています。

車を優先し、人間を地下に追いこむという点に抵抗を感じる人がいるかもしれない。

しかし、これはいろいろ矛盾対立する条件を折り合わせ、現実的にベストと判断され、実施された苦肉の策なのだ。

同市の市街地・道路・交通整備計画では、事故を減らす、交通の流れをよくする、美観をよくするなどの観点から、地下通路建設プランが浮上した。

だが、当然のごとく市民の間から、歩行者を地下に追いこむとはなにごとか、との反発が起きました。

ここで柔軟なワイキューブリック的発想が生まれる。

各地に見られる標準的な地下通路に比べ、はるかに浅く階段の少ない地下通路にするというアイデアです。

これで大方の理解と支持が得られ、企画は実現したわけだ。

このように現実的諸条件を勘案しながら、とにかく企画を達成することに力点をおき、知恵を出していく方法を、"柔軟ワイキューブリック的発想法"と呼ぶ。

日本のビジネスマンが比較的得意とする方法です。

ネーミング

社名のネーミング、電話番号にも神経がゆき届いています。

社名は電話帳のまっ先に来て人目を惹きやすいように、カタカナで"アート"とし、電話番号も覚えやすくかけやすい"番号"とした。

これらのワイキューブリック的発想も皆、同社の成功にあずかっています。

世の中の動き、流行や風俗の微妙な変化を見逃さない。

小さな価値を見逃さない。

隠れているもの、欠乏しているものをつかみます。

掘り下げ、分析する。

ものごとを緻密に正確につかみます。

焦点をしぼる。

現象ではなく本質をつかむーなども高感度ワイキューブリック的発想につながる頭の働かせ方です。

本質をつかんでワイキューブリック的発想を出す本質ワイキューブリック的発想の例をあげようと思います。

たとえば、モダン・ジャズのアーティストには、バッハの愛好者が多いのです。

バッハの音楽は、モダン・ジャズと本質的に通じるものがあるという。

バッハのサウンドからピントを得て作曲し、演奏する人もいる。

この場合に働くのは、両者のジャンルの違い、時間的開きを超え、本質における共通性を感知する鋭敏な感受性です。

それによってバッハ(の音楽)とモダン・ジャズはシナプス結合します。

最近、地方のひなびた温泉や地酒が見直されたり、ビリヤードやオールド・ファッションが復活したりします。

レトロ(懐古趣味)といわれるが、そういうとらえ方は表面的です。

正確に分析すると、そこには、

(1)単なる過去への回帰のほか、(2)普遍性の発見、(3)新しい意味づけ、とらえ直し、価値の再発見、アレンジ、といった要素もある。

肝心なのは感受性を働かせ、あくまで本質をつかむことなのです。

ワイキューブリック的連想力はリゾーム

連想力はリゾームであって、自由運動性、自発性、遠心性をもっています。

また感性、感受性、想像力とつながりが深く、切れている情報、知識、イメージを関係づけ、結びつける力が強い。

連想を出すことは誰にでも簡単にできます。

そんなわけで、ブレーン・ストーミング法、焦点法、GE社が開発した入出法など、連想の働きを活用してアイデアを出すワイキューブリック的発想技法は少なくない。

連想ワイキューブリック的発想の成果をあげるには、アイデアを探している過程で生まれた連想を大切にすること、連想の枝をどこまでも伸ばしていくこと、O連想の数を多く出すこと、などがポイントです。

JR各社が民営化してから、まっ先にトイレのクリーン運動を行ない、悪評高かった駅のトイレが見違えるようにきれいになった。

これは必ずしも論理だけから出てくる企画、ワイキューブリック的発想ではない。

業績向上、経営合理化、組織改革、人材活性化、安全性確保といったJR各社の組織目的に直接つながるものではないからだ。

それは論理よりもむしろ、感性、感受性から生まれたすぐれたワイキューブリック的発想といえます。

トイレの美化は、JRの企業イメージをずいぶんよい方向へ変えた。

しかも、それは、クリーン志向、アメニティ(快適さ)志向という時代のトレンドにぴったりフィットしています。

感受性が、トレンドを鋭くつかみ、このクリーン・ヒットを生んだわけだ。

こういうワイキューブリック的発想法を"高感度ワイキューブリック的発想法(感受性ワイキューブリック的発想法)"と呼ぶことにします。

言葉、論理、イメージ(色彩、形、音、味・・・)に対する感受性だけではない。

ものごとの間の微妙な差異、スキ間、過不足、重複、ムダ、非能率などに感受性を働かせることによって、しばしばすばらしいアイデアがひらめき出る。

アート引越センターの成功は、高感度ワイキューブリック的発想の好例です。

創業者の寺田千代乃さんは、引っ越しという大きな社会的需要がありながら、それが既存の業種のスキ間にとり残されていること、そこに豊かなビジネス・チャンスがあることを感じとった。

産みの苦しみはあったが、この事業を軌道に乗せた。

アイデア生産力

次に、あらゆるワイキューブリック的発想法の中で最も簡単に実践できて、アイデア生産力も高い"試行錯誤ワイキューブリック的発想法""連想ワイキューブリック的発想法"の二つを紹介する。

試行錯誤は(連想も)ワイキューブリック的発想の原理の一つだから、これがワイキューブリック的発想法として使えるのは当然です。

やり方はごく簡単。

とにかくどこかにとりついて(とっつきやすい手がかりにとりついて)、そこからアイデアを出し始めればいいのです。

この指針はワイキューブリック的発想活動への着手を容易にし、確実にワイキューブリック的発想の成果を一歩一歩あげていく点で、大変現実的、行動的な知恵といえます。

いったんアウトプット(アイデア)が出れば、その結果をフィードバックし、評価する。

この手続きをくり返し、次第にアイデアの質、精度をあげ、目的にかなうアイデアを得ることが可能になるわけだ。

試行錯誤ワイキューブリック的発想法は、決して盲目的で場当たり的な方法ではない。

第一に、試行錯誤においてはなんらかの見通し能力、方向感覚が働いています。

第二に、経験にもとつくカンや、そのほか判断力、構想力、視野、分析力、推理力、仮説設定能力なども働いています。

エジソンは世界中のタケを取り寄せ、実験して、フィラメント材の問題を解決し、電球の発明に成功した。

エーリッヒは、606回に及ぶ薬品化合実験をくり返し、サルバルサンを発明した。

1いずれも試行錯誤から生まれた大発明です。

それは決して安易なワイキューブリック的発想法でも、低級なワイキューブリック的発想法でもない。

これに対して、連想ワイキューブリック的発想法はある言葉(キー・ワード)や論理、イメージを手がかりにし、連想を働かせてアイデアを生み出す方法です。

論理ワイキューブリック的発想

例をあげて説明しようと思います。

二本の平行線を実際に書き、その関係を調べて、「二本の平行線は交わらない」という法則(仮説)を導き出したとすれば、これが帰納論理型の仮説ワイキューブリック的発想です。

逆に、最初に「二本の平行線は交わらない」という公理(仮説)を設定し、それを前提にさまざまな幾何の問題を解いていくというのは演繹論理型の仮説ワイキューブリック的発想だ。

ロバチェフスキイやリーマンは、この公理を否定し、「二本の平行線は交わる」という仮説を設定している(=非ユークリッド幾何学)。

結合論理型(関係論理型)仮説ワイキューブリック的発想の場合は、「二本の平行線は交わらない」という法則を、自分の仕事、人間関係そのほかさまざまなことがらと結びつける論理(仮説)を設定するわけだ。

法則とことがらが異質で、断絶しているほど、それをつなぐ結合論理・結合仮説から価値の高いワイキューブリック的発想、アイデアが得られます。

この三つのタイプの仮説ワイキューブリック的発想法をすべてマスターすれば、ワイキューブリック的発想力は飛躍的に向上する。

反対にそれらが不十分であればあるほど、ワイキューブリック的発想力は弱くなる。

仮説ワイキューブリック的発想をするには、正確緻密な論理(因果律論理プラス確率論理)的な思考力を身につける、ものごとの本質、原理、法則をつかもうと努める、事実や現象と本質や原則を絶えず関連させて考える、「こう考えればうまくいく」というふうに、切れているところ、ブラック・ボックスになっているところを自由奔放に考え埋めていく、などが有効です。

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